短編小説②

火の玉レッド

2008年06月07日 00:08

最近、ネタが無く・・・・・・
mixiにアップしてるお粗末な小説を、少しばかり掲載します。



ご感想等あればコメントにお寄せ下さい。
シリーズ化の予定は、未定(笑)。


※以前のは、http://koumoritohukurou.sapolog.com/e462280.html まで!
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『23:13』


ワタシは窓を開けた。
夏を終えた夜の空気が、そっと部屋に入り込み、ワタシはi-Podのボリュームを下げた。

ミンナ、飾りばかりで中身のない人ばかりだし、飾りばかり豪華にキレイにしても中身の無い人は魅力なんてないしさ、でもワタシの周りにも魅力のある人は居なくて、大体がミンナ平均的で、少しばかりヘンな人に惹かれたりもするけれど、それってやっぱオカシイよね。

知らない、ワタシはそう答えた。
そんなの知らない。
何がオカシイのかワタシには分からないから。

ワタシは耳に掛かった髪をかき上げ、i-Podのボリュームを上げた。


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『23:46』


オレはハンドルを握る手がまだ震えている事に驚いていた。

あのオンナの肌の感触がまだ手に残っている。
あのオンナと目が合ったことが一度も無い。
付き合う前からそうだっただろうか。
オレは、ふとそんな事を思っていた。

緩やかな曲がりを繰り返す峠道を走っていると落ち着いた。
あのオンナに言われた言葉をクルマを走らせながら一生懸命思い出そうとしていた。

大体あれなのよ、それが口癖だった事を思い出した。
そんなどうでも良い事を思い出したジブンが可笑しく思えた。

大体あれなのよ、アナタはね、ワタシの事なんてどうでも良いんでしょ、この間だってさ。
オレは意識を外に向けた。
そうすれば楽だった。
意識を遠ざける事で、あのオンナの声は耳に入らなかったし、視界さえ一瞬狭くなったのだから。

あんな作り笑いが出来るオンナを見たことがない。

オレの手には、まだあのオンナの肌の温もりが残っている。

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『20:52』


ごめんよ、ホントはキミの前で謝って、その後でサラッとしたキミの髪の毛をいつものようにクシャッとしてあげたいのに、それが出来ないだなんて、バカだね、許してくれよ、ボクはバカなんだ、そんな事知ってるだろ、キミなら。

青の部屋で、白いワインと赤い肉と黄色い野菜を銀の食器で食べながら黒い曲を一緒に聴いたっけね。
そしてその後、一緒に紫色の煙を吸ったよね。

キミの黒い瞳の奥にある茶色い所で見つめられたら、誰だって幸せになれるんじゃないか、そう思った時もあったよ。

でも今じゃ、その目や耳、鼻やサラサラの髪、薄い唇を見ただけで呼吸が苦しくなるんだ。
ごめんよ、許してくれよ、ボクはバカなんだ、キミなら知ってるだろ、キミならさ。

だからそんな目でボクを見ないでくれよ。

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『21:47』


何かキモくないとかキモいんですけどみたいな そんなあいつ と 一緒 に い る と ねえそう私だけありえなくない 彼氏彼女の中でだよ ヤキモチとか嫉妬とかそう言う次元の話しじゃない訳よ セックスの後のイチャイチャがヤだなんて 何 も 考 え て な い の か って さ 言った訳よ したら 面倒くせえ だって さ
は~?って感じでしょ 違くない ね で さ そ そそ そうなの
ねね え あんたも そか そか だね ちょい 待って メエル うん あいつから ピピピピ 会わないだって ぷ 私からしたらさ 合わないだっての 上手くない チョー ウケる でもさ 別れるとか言われたら私また泣いちゃうから ね ホント もう 立ち直れないかもっていっつも言ってるけど今度ばかりはマジかも また メエル バイト先の先輩からだ ピピピピピ うん 削除 キモイから がっ またメエルだ サークルの先輩 前にエッチした事あってさ それから何か変に意識しあう仲っつーの うん そ ね ピピピピ うん 送った 送信した だって その人 福山似だし タイプだし でないとエッチしないっしょ キャハ 秋だね 鍋だね キムチ鍋だよ え キモイ鍋 だめだめ 面白くも何ともない あんたも笑うなっつーの 道新でさ ちびまるこ連載してるんだけど 毎朝読んでるんだけどさ ね うん うん あーーーーーーーー うるさい うざい うぜえ だるい だりい あ 雨だ 行こ うん そしたら あ~い ぁ~ぃ

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『23:34』


ワタシの母は病気でワタシがまだ小さい頃に亡くなって、それからワタシは父とずっと2人暮しをしてきた。

ある日の事、その日は母の日で家ではワタシが料理とか洗濯とか掃除とか全部やってるんだけど、母のお姉さんだって言う人が来ていて、ワタシはとっても嬉しくて、その日はホントに昔みたいに母が居るみたいに家の中が明るくなって、伯母さんに料理とか教えてもらって一緒にご飯も作って泊まっていけばいいのにって伯母さんに言ったんだけど、伯母さんも家に帰らないといけないって言うので結局伯母さんは家に帰った。

ワタシは伯母さんから教えてもらったハンバーグのレシピを書いた紙を見ながらハンバーグを作ってみたら、伯母さんの作るハンバーグと同じ味がしてワタシは嬉しかった。
それ以来、嬉しいことがあったり、2人きりの我が家でめでたい事があると、ワタシはそのハンバーグを作った。

ワタシが大きくなって分かった事だけど、父には何回か再婚の話しが合ったらしいけど、父の押しが弱かったらしく再婚には至らなかったらしい。
いかにも父らしいエピソードでワタシは好きだ。

ワタシが結婚するって言った時、父の背中が急に小さく見えた。

父の頭にも白いものが目立つようになった。

結婚式の前の日、伯母さんに教えてもらったハンバーグを作って父と2人で食べた。
父はどんな思いでそれを食べたのだろうか、私はふとそう思う時がある。
食事の後、父はぼそぼそと話し始めた。
ワタシが小さい頃、母の日に伯母さんが来てくれた日の事。
実は父が伯母さんに頼んで、ワタシが寂しい想いをしなくても良いようにと家に来て貰ったらしい。

ワタシはその話しを聞いて泣いた。

ありがとう、お父さん。

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『23:54』


私、今精神安定剤飲んでるんだ、カノジョは焦点の定まらない虚ろな瞳でボクにそう告げた。
なるべく平静さを装いながらボクは生返事をした。

ここのところのカノジョは気分の浮き沈みが激しく、今のカノジョは暗闇にも似た世界に居るようだった。

空虚な目をしたカノジョは実体がどこかに行ってしまったようで、そんなカノジョを見る度にボクは動揺した。

少し前からカノジョの行動や言動がいつもと違っており、少女に戻ってしまったかのような笑みをボクに度々見せた。
そう言うカノジョを見ていると胸が痛んだ、その反面ある感情がボクの胸中に芽生えていた。

精神が儚くなってしまったカノジョは不思議と普段より数段可愛いく見え、脱力感とか疲労感が体から出ているその様子は色気さえ漂わせていて、ボクは思わずハッとした。

結局私が全部悪いのかな、私が変われば良いのかなと述懐し始め、ボクはだらしない事にまた生返事をして誤魔化した。

思うに。

カノジョは真面目で、理性が人よりも強く、何でも型に当てはめようてした、周囲の人間に対しても自分の考えを強要するところがあった。
周りの人間は、そんなカノジョに辟易してしまう。
カノジョとの愛情が深いほどに、カノジョと向かい合うと疲れてしまう。

ボクはカノジョに何を言えば良かったのだろう。

ゴメンよ。
ボクには話を聞いてあげる事しか出来ないんだ。
付き合いの長いボクらだから分かるだろうけど、ボクは卑怯者なんだ。
知ってるだろ?

ボクはいつだって答えを言ってあげられないんだよ。

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あとがき


昨年の9月から10月にかけて書いたものの一部分をココにアップしてみたけれど、改めて読み直すと、何て言うか恥ずかしいやら照れるやら、文章も稚拙だし、表現力もまだまだだし。
でも書いてると楽しいので、それはそれで、楽しんで書いてるんで良いかなと(笑)。

作品のタイトルは時間を表記してるだけで、それは文を書き始めた時間をそのまま作品にしてるだけの事で、特に意味も無く。
まぁ~、強いて言うと、その時間にある人は何を考えているか、その時間に何が起こっているか、そんな事を考えながら書いた事もあれば、そんな事考えないで書いたこともあり(笑)。

あと。
こう言った作品のほかに、頭に思い描いた世界、浮かんで来た言葉を繋げて、なるべく格好良い文章になるよう書いたものもあり、実はソッチの方が読み直すと、結構良い感じで楽しめたりする。
我ながら感性が鋭いなぁ~と、思うこともある(笑)。

例えば。



タイトル『????????????』



 ナナカマドの街路樹が真っ赤に色付く頃、ボクは死んだ。

 キミはその内死ぬだろうとよく言われていた。

 昔、駅前で雨ん中を狂ったように踊っていたダンサーが居た。
 昔、ステージでベースをまるで愛するオンナを抱くように弾いていたオトコが居た。
 昔、ナイフ片手に美しく舞う殺し屋が居た。
 昔、タバコの煙を空気代わりに吸う敏腕刑事が居た。
 昔、肉体が離脱してしまうんではないかと心配したレーサーが居た。

 やがてボクはボクの世界の中で、その世界の中心でボクは亡骸になった。




う~ん、素晴らしい♪
コレは確か秋で、空気が冷たくて街路樹のナナカマドが赤くなって来た頃で、一文目の「ナナカマドの街路樹が真っ赤に色付く頃、ボクは死んだ。」っていう文を通勤途中にフッと頭に出てきて、どうしてもその一分を書きたくなって、帰宅後にバーッと書いたんだと思う。

最近はなるべくポジティブな作品を心掛けていて。
以前のネガティブな作品を読み直すと、何とも言えない気分になってしまうので(笑)。
まぁ~、ネガティブ一直線ってのも大好きだけど。

例えば、こんなの。



タイトル『世界の終わり』



“the end of the world”と題されたその絵を見ていると、死にたくなってきた。
絶望色の絵の具で彩られたその画は、死神が描いたのか堕天使が描いたのか分からない。
ひょっとしたら地獄に落ちた神が描いたのかもしれないし、それは誰にも分からない。

天使と悪魔の試合では退廃色のムードが常に漂い、デカルトの唱えた「我思う、故に我あり」と言う哲学的命題に頭を悩ませていると、実体二元論とか物事の良識とかそんなのどうでも良くなってきた。

脳ミソと血管の中までアルコールに侵されている時、ミッシェル・ガン・エレファントの『ドロップ』が頭の中でこだまして来て、「神の手は滲むピンク」と歌ったチバの声がずっとずっとずっとずっと頭ん中で繰り返し流れていた。

  神の手は滲むピンク

  神の手は滲むピンク

  神の手は滲むピンク

  神の手は滲むピンク

  神の手は滲むピンク

  神の手は滲むピンク

  神の手は滲むピンク

  神の手は滲むピンク

  神の手は滲むピンク

  神の手は滲むピンク

暗いトンネルの中から真っ黒い化け物が出てきて、髪が長くて肌の白い100人の処女を犯し喰いつくした時、世界の終わりが来るんだ、そうカノジョは言ってボクの元から去った。

破壊せよ!
破壊せよ!
破壊せよ!
破壊せよ!
破壊せよ!
破壊せよ!
破壊せよ!

破壊の音楽と絶望色の絵画で世界を終わらせよう。




どう?
暗いよね。
でも、良いでしょ♪

書くのって、オモロ~~~~!
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